不動産を購入する際には、さまざまな法律上の規制が存在します。
そんななかで知っておきたいのが「日影規制」についてです。
「日影規制」は建築基準法のひとつですが、地域によって規制内容が異なるので、不動産購入の前に確認しておくと安心です。
今回は、不動産購入の際に知っておくと助かる「日影規制」について、解説していきます!
不動産を購入する前に知っておきたい「日影規制」とは?
「日影規制」とは、建物を建築する際に建物によって近隣の住宅などの「日照」が、妨げられることのないように定められたものです。
「日影規制」が定められたきっかけとなったのは、1970年代に大型マンションがたくさん建てられた際に、1日中日が当たらないとして日照権をめぐる訴訟がおきたことです。
また「日影規制」の測定は、もっとも影が長くなるとされている「冬至の日」を基準にしており、この冬至の日の午前8時から午後4時までに生じる日影を制限することとなります。
不動産を購入する前に知っておきたい「日影規制」で気をつけるポイント
「日影規制」は全国一律ではない
「日影規制」は、全国的に同じものではなく地方公共団体が建築基準法の内容をもとにして作成しているため、地域によって異なるので注意が必要です。
「日影規制」の表現(3時間・2時間・1.5m)の意味とは?
第一種低層住居専用地域の規制では、「3時間・2時間・1.5m」と表現されます。
●3時間:敷地境界から5m~10mの範囲に、住宅の影が日中の一定時間帯において3時間以上になるような建物は建築できない。
●2時間:敷地境界から10mの範囲に、住宅の影が日中の一定時間帯において2時間以上になるような建物の建築はできない。
●1.5m→影ができる時間を測定する平面は、地面から1.5mの高さで計測する
上記のように、建物を建てる際は、隣接する敷地にできてしまう影の時間を、一定時間内に抑えなければなりません。
「日影規制」の計算にはCADシステムを使う
「日影規制」を守れているかどうかを確認することは難しいため、現在ではCADシステムを利用するのが一般的です。
CADシステムでは、システム上で「日影規制」をクリアできているか確認でき、施主の希望する建物を設計することができます。
日照が保証されている訳ではないので注意
不動産を購入する際に注意するポイントが、日照が保証されている訳ではないという点です。
「日影規制」では、日影になる時間の上限を定めているだけで、日照を保証するものではありません。
そのため、不動産を購入する際には、自分の家が「日影規制」をクリアしているかだけでなく、家の周りに日照の影響を及ぼす可能性があるものがないか、周辺敷地を調査しておくのがポイントです。