近年、売却する中古物件の品質が問われているため、住宅の調査を事前に実施することが増えています。
売主側にもメリットがあるため、売却前に実施する方も少なくありません。
ここでは不動産の売却を検討している方に向け、ホームインスペクションの基本や、メリット・デメリットなどをご紹介します。
不動産の売却前におこなわれる「ホームインスペクション」とは?
法令が規定し、国の定めた講習を修了した建築士によりおこなわれる調査のことです。
人が一度でも入居、もしくは築年数が2年を超過した中古住宅が対象とされます。
個人の住居と事務所を兼用している物件は、住宅部分だけが調査対象です。
該当する物件に対し、構造耐力上主要な部分、雨水の浸入を防止する部分の2ヶ所が調べられます。
物件全体を隅々まで調べるわけではなく、あくまで該当する2ヶ所のみを調査するため、その住宅のすべての瑕疵が見つかるわけではありません。
ただ、物件の質を左右する重要な箇所の瑕疵が判明する点で価値のある調査です。
近年の法改正により、売買を仲介する不動産会社はこの調査について情報提供し、依頼があれば専門家を斡旋する義務を負いました。
そのため、売買の仲介を依頼した会社で、調査の案内や斡旋を受けるとよいでしょう。
調査にかかる具体的な費用はケースバイケースであるものの、目安価格は5万円です。
なお、民間業者がおこなう、似た名称の独自調査が多く存在しますが、ここで紹介したものとは異なるため、混同しないようにご注意ください。
不動産の売却にあたって「ホームインスペクション」をおこなうメリット・デメリットとは?
近年の法改正により、契約時に提示されなかった瑕疵が売却後に見つかった際、売主がその責任を問われる恐れがあるため、調査を実施しておくと安心です。
瑕疵が見つかった際、修繕のうえで売却するか、住宅の問題点を契約書に明記しておけば問題ありません。
また、一度調査を実施すれば瑕疵担保保険にも加入でき、専門家が見つけられなかった該当箇所の問題が以降に発覚した際、修繕費などを保険金で賄えます。
さらに、どのような結果だとしても、調査が実施されている物件は買い手にとって安心感が強く、購入する物件として検討されやすい点もメリットです。
その一方、先に紹介したように調査は有料であり、売主が実施するならその費用を負担せねばなりません。
また、調査の依頼から報告書の受領までには2週間程度かかることが多く、それだけ売却が遅れることもデメリットです。